Critical Path Instituteと医薬品医療機器総合機構、初のバイオマーカープロジェクトで協力
目的は、早期の臨床試験での安全性に関する決定を裏付ける重要なデータを得ること
アリゾナ州トゥーソン、2019年1月15日 — Critical Path Institute(C-Path)は本日、Predictive Safety Testing Consortium(PSTC)と日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)との対面助言の結果、8つの新規尿中腎毒性バイオマーカーについて、健康な日本人ボランティアのレベルと、健康な欧米のボランティアで得られているデータをブリッジング試験で比較するという初のアプローチについて合意に達したことを発表しました。このプロジェクトの結果は、早期の臨床試験において試験参加者の安全性を確保するための意思決定の指針として、これらのバイオマーカーの活用が役立つかどうかをPMDAが評価するための臨床的エビデンスを提供するものと期待されます。
PSTCのメンバー企業が2019年後期から日本で実施する予定のこの新たな試験では、これらの新規腎毒性バイオマーカーに関して、健康な日本人ボランティアの結果と、米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)への申請の裏付けとしてPSTCが2011年から2012年まで実施した米国を拠点とする同様の試験に登録された被験者の結果とを比較します。この日本人試験の結果を受けて、PSTCとPMDAの今後の協議で日本における新規腎毒性マーカーの適格性確認のための方法が定められます。この試験で日本人被験者を対象として測定するバイオマーカーは、クラスタリン(CLU)、シスタチンC(CysC)、腎損傷分子-1(KIM-1)、N -アセチル-β-D-グルコサミニダーゼ(NAG)、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)、オステオポンチン(OPN)、アルブミン(ALB)および総タンパクです。このブリッジング試験の詳細はこちらをご覧ください。
C-PathのBiomarkers Program OfficerおよびPSTCのExecutive DirectorであるJohn-Michael Sauer, Ph.D.は次のように述べています。「薬剤性腎障害は、薬剤開発中に発生する可能性のある重大な問題です。このプロジェクトや、臨床安全性バイオマーカーに関するPSTCのその他のプロジェクトの結果は、試験している用量と期間で早期の臨床試験を中断または中止するかどうかについて、安全性の観点から意思決定をサポートするための重要なデータが得られるようにデザインされています。」
PSTCには、臨床での薬剤開発をサポートするための腎毒性バイオマーカーの適格性を確認した実績があります。PSTCは2010年8月に、PMDAとともに、ラット試験での薬剤性急性腎障害の検出を目的とした7つの新規腎毒性バイオマーカーの使用について適格性を確認しました。2018年8月に、FDAは、PSTCとFoundation for the National Institutes of Health(国立衛生研究所財団)Biomarkers Consortiumに対し、腎機能の従来の指標と併用する6つの尿中バイオマーカーから成る単一の複合指標として、臨床安全性バイオマーカーの初めての適格性確認を正式に発表しました。
C-PathのPresident兼CEOであるMartha Brumfield, Ph.D.は次のように述べています。「先ごろのFDAによる臨床腎毒性バイオマーカーの適格性確認や、私たちとPMDAとの最近の協議は、C-Pathの活動の世界的な広がりを示すとともに、医療イノベーションとレギュラトリーサイエンスを推進する新たなアプローチの開発を促進するという私たちの役割を実証するものです。これらはすべて、安全な医薬品の開発を促進し、臨床試験を具体化し、研究を進め、より健康な世界を創造するツールの開発と適格性確認を促進するという私たちの使命にとって、きわめて重要な意味をもっています。」
PSTCのグローバルな活動を、理化学研究所の横浜キャンパスで4月17~18日に開催される予定の2019 Japan Safety Biomarker Workshopでご紹介いたします。プレゼンテーション、パネルディスカッション、ポスターセッションで、急速な発展を遂げているこの分野の新たなテーマや重要なテーマ(安全性バイオマーカーとしてのmiRNA、小型循環RNA[small-circulating RNA]の役割、安全性検査、薬剤の有効性と疾患の診断、ゲノミクスとエピジェネティクス、日本、欧州連合および米国間の規制当局のエビデンスに基づく検討など)を取り上げます。
Critical Path Instituteについて
C-Path(Critical Path Institute)は、パブリック・プライベート・パートナーシップとして2005年に設立された独立した非営利組織です。C-Pathの使命は、医療イノベーションとレギュラトリーサイエンスを推進する新たなアプローチの開発を促進し、より健康な世界への道を加速させることです。コラボレーションの形成における国際的リーダーとして、C-Pathは数多くのグローバルコンソーシアムを設立してきました。これには現在、政府および規制当局の1,500人を超える科学者、学界、患者団体、疾患財団、大手製薬会社やバイオテクノロジー企業数十社が参加しています。C-Pathはアリゾナ州トゥーソンに本部があり、複数の遠隔地にもスタッフを置いています。詳細についてはwww.c-path.orgをご覧ください。
担当者:
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